Improvised Music from Japan / Kazue Yokoi / Information in Japanese
29. Internationales New Jazz Festival Moers
Pfingsten 9.-12. Juni 2000

2000年メールス国際ニュー・ジャズ祭フォト・ドキュメント

写真・文:横井一江

6月9日(金曜日)

Danyel Waro(フランス領レユーニオン島)
フランス領レユーニオン島の最も良く知られたMaloya singer。地域の言葉クレオール語で歌われる唄は、素朴な中に深い響きを持っていた。

Lenine(ブラジル)
言わずと知れたブラジリアン・ロックの雄。音楽構造は過去のブラジリアン・ロックと基本的に同じなのだが、現代的なビートがサウンドに新鮮味と今日性を与えていた。

6月10日(土曜日)

Ex Orkest(オランダ)1 | 2 | Hamish Mckeich | Wolter Wierbos
トム・コラとも共演経験があるパンク・バンド「エックス」が中心となったオーケストラ。お行儀の良いヨーロッパ的サウンドとは違い、諧謔味たっぷりでエネルギッシュでしたたか。そこにストリートの猥雑さとアヴァンな過激さがある。

FM Einheit & Gry(ドイツ / デンマーク)Gry Bagoien
ノイバウテンのドラマーFMアインハイトは、デンマークの若い歌姫らとのプロジェクトで出演。コンピュータを用い、プロジェクターで抽象的な映像を映しながら、サウンドと映像をシンクロさせる試みを行った。

Wimme(フィンランド)Wimme Saari
ラップランドの少数民族サーメ人Wimme Saariは、ヨイクという独特のボーカル・テクニックを用いる。その伝統的な唄法と現代的なサウンドが融合して、独自の音世界が創り出された。

Hugh Ragin Trumpet Ensemble(米国)Hugh Ragin 1 | Hugh Ragin 2 | Craig Taborn
ヒュー・レジンは、3本のトランペットを擁したアンサンブルで出演。リズム・セクションは、ジャリブ・シャヒド(ベース)、クレイグ・タボーン(ピアノ)などの名手。1999年に亡くなったレスター・ボウイに捧げる曲も。

渋さ知らズ(日本)1 | 2 | 3 | 4 | 5
2000年のメールスジャズ祭で最も注目を集めたプロジェクト。モスラ顔の芋虫ドラゴンなど大仕掛けもあり、一種の見せ物小屋的スペクタクルは、視覚的にも楽しませてくれた。観客の熱狂ぶりはかつてないくらい凄いものだった。

6月11日(日曜日)

Jazz Jamaica All Stars(ジャマイカ / 英国)Gary Crosby | Tony Uter | Alan Weekes | Orphy Robinson
ジャズ・ジャマイカにイギリス人ミュージシャンも加わった20名近い編成で出演。ジャズにレゲェのリズムがミックスされた音作りはいつもながらだが、大編成だけにさすがにサウンドに厚みがあった。

Kimmo Pohjonen(フィンランド)1 | 2 | 3
フォーク・ミュージシャンとして出発したアコーデオン奏者だが、エレクトロニクスとヴォイスを効果的に用いて音響的に拡張させたソロ・パフォーマンスで、ミステリアスな音空間を創出していた。

Rajery(マダガスカル)
マダガスカル版ジャンゴ・ラインハルトだ。ヴァリハ奏者ラジェリィは、幼い頃右手を失った。しかし、彼の演奏には不自由さは全く感じられないばかりか、伝統的なメロディは美しく、テクニックもまた素晴らしい。

Isotope 217(米国)Robert Mazurek | Jeff Parker | John Henderson
最近話題のシカゴ・アンダーグラウンドを代表するグループ。サウンド・テクスチャーの微細な変化も取り込んだ、折衷的で、耳には聞こえいいが、複雑な作品を演奏していた。メンバーのジェフ・パーカーはAACMのメンバーでもある。

Omar Sosa Sextet(キューバ / 米国)Omar Sosa 1 | Omar Sosa 2 | Will Power 1 | Will Power 2
キューバ人オマー・ソーサは、ラップ・ヴォーカルのウィル・パワーをフィーチャーした実にファンキーなステージを展開した。

6月12日(月曜日)

Le Grotorkestre(フランス)
ワインで有名なブルゴーニュ地方のローカル・オーケストラ。彼らはステージにもなる特別誂えのバスでツアーし、ブルゴーニュ各地で演奏しているという。セロニアス・モンクやカーラ・ブレイなどのジャズに触発されたというそのサウンドは、ローカル性を感じるが決して野暮ったくはなく、どこか人を楽しませるところがあった。

Nils Wogram & Roots 70(ドイツ / 米国)Nils Wogram
Nils Wogramは、ドイツで最も注目を浴びている若手の一人。

Louis Sclavis New Quintet(フランス)Louis Sclavis 1 | Louis Sclavis 2
ルイ・スクラヴィスの新しいクインテットは、イマジナティヴでインテレクチュアルな美しさを持つサウンドを聞かせてくれた。

Radici Trio(イタリア)Gianni Coscia
「ジャンゴ〜ドナドナ」といった曲は、どこか郷愁を感じさせる。そのサウンドは深く、限りなく美しい。曲によってはクールに、アイロニカルな側面もまた顔を出す。

Moondive III(米国 / オランダ / フランス)Ray Anderson 1 | Ray Anderson 2 | Ernst Reijseger
「ムーンダイヴ」とは、1999年、オランダのテレビ局とラジオ局が、異なったバックグラウンドを持つミュージシャンを共演させたコンサートをシリーズで行った企画。その第3回目に集められたのが、それまで互いに顔も名前も知らなかった8人のミュージシャン。顔合わせの意外さが、かえってプロジェクトの音楽性を広げ、面白いサウンドに。

David Murray "Speaking in Tongues"(米国)David Murray 1 | David Murray 2 | Amina Myers | Joseph Bowie 1 | Joseph Bowie 2 | Clarence Jenkins | Renzel Merritt
メールスジャズ祭ではお馴染みのディヴィッド・マレイだが、今年はゴスペルのプロジェクトで出演。「アメイジング・グレース」では、アミナ・クローディン・メイヤースと二人で歌う場面も。


註:写真がないため上記リストには掲載しませんでしたが、9日の最初は「Peter Herborn Large(ドイツ / 米国)」、11日の4番目(RajeryとIsotope 217の間)には「Ernst Reijseger @ Sur Place(オランダ / 米国)」がそれぞれ出演しました。


Last updated: January 21, 2001