Sachiko M (sinewaves)
大友良英 (electronics)
1997年に結成された Filament はポスト・エレクトロニクス・ミュージックのあくなき実験場である。聴取と発音行為の徹底的な分析と解体の末にうまれたこのユニットは、Sachiko M と大友良英による独特な作曲方法を軸に、従来の「作曲」や「即興」によって作られた音楽とは根本的に異なる音響体験をもたらしてくれるだろう。テクノ以降の実験音楽の試金石としても大きな意味を持っている。
1998年に初のCD『Filament 1』をオーストラリアの Extreme よりリリース、翌年にはギュンター・ミュラーをゲストに三人で公開録音した第2作『Filament 2』 をスイスの 4 for Ears より発表。ロンドンのLMCフェスティヴァルやバルセロナの SONERフェスティヴァル等世界各地での演奏をへて、2001年5月にはFilament単独 による初のライヴ・アルバム『29092000』を AMOEBiC よりリリースした。
「われわれもまた、フィラメントが行っていることを説明できるような言葉を、いまだ持ってはいない。(中略)それはおそらく『作曲』とも『即興』とも『演奏』とも微妙に、だが決定的に違う。いや、それは、それらのすべてと微妙に近接しつつも、いわば斜めに横切っていくような、一種の『運動』としてあるのだ、とでも言うべきかもしれない」(佐々木敦「テクノイズマテリアリズム」より