Improvised Music from Japan / Yumiko Tanaka / Information in Japanese
略歴
義太夫(太棹)三味線
東京芸術大学音楽学部楽理科、同大学院で音楽学を専攻。在学中、義太夫三味線の音色に惹かれ、文楽の人間国宝・4世野澤錦糸に義太夫三味線を、女流義太夫の人間国宝・竹本駒之助に、義太夫節を師事。鶴澤悠美の名前で女流義太夫の三味線弾きとして活動し、1990年度芸術選奨文部大臣新人賞(音楽部門)受賞。国内外における現代音楽作品の演奏、即興演奏、映画や音楽劇の作曲・演奏、ダンスパフォーマンス、演芸など、実験的で多彩な表現活動をおこなっている。
エジンバラ・フェスティヴァル 2001 でHerald Angel Award を受賞したドイツの作曲家ハイナー・ゲッベルス演出による音楽劇『Hashirigaki』世界ツアー(2000〜2008)におけるパフォーマンスは、The Guardian や New York Times 誌で好評を得た。また、2004年、ニューヨークの人形アーティスト、バジル・ツイストが制作した舞台作品『Dogugaeshi』では音楽監督および演奏をおこない、同作品は The New York Innovative Theater Award、The Bessie's New York Dance and Performance Awards を受賞。2007年秋にはニューヨークにおいて再演され、続いて日本ツアー、アメリカ・ツアーがおこなわれた。
2004年春、ソロCD『Tayutauta』リリース。2006年アジアン・カルチュラル・カウンシルのグラント取得および2008年度文化庁新進芸術家海外留学研修によりニューヨークに滞在し、パフォーミング・アーツに関するリサーチおよびパペット・シアター製作研修をおこなう。2008年9月まで10年間、兵庫教育大学で講師・准教授を勤めた。2009年義太夫節保存会会員として、重要無形文化財総合認定者となる。2009年12月、野川美穂子、配川美加との共同編著本『まるごと三味線の本』を青弓社から上梓。2010年12月、エレクトロニクス、ダンス、人形美術、映像、照明などのクリエーターと協働し、ミュージック・パフォーマンス「Tayutauta」をおこなう。2012年3月、東北民俗芸能と和太鼓を中心とした東日本大震災の追悼演奏会、国連本部公演を含めて米・仏・中三カ国巡回公演に参加。
主な活動歴
- 伝統芸能界における活動
- 1981年、野澤錦鈴の名前で上野本牧亭において女流義太夫の演奏会初舞台。
- 1987年、鶴澤悠美に改名。1997年まで師匠である竹本駒之助の三味線を勤め、邦楽演奏会に多数出演。
- 1991年、古典の演奏活動により1990年度芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。
- 2009年、義太夫節保存会会員として、重要無形文化財総合認定者となる。
- 現代音楽シーンにおける活動
- 1982 年から邦楽器アンサンブル「日本音楽集団」に参加。
- 1985年、セントルイス・オペラ・シアターにおける三木稔作曲オペラ「JORURI」に三味線ソリストとして参加。セントルイス交響楽団と共演。
- 1988年より、入野義朗作曲オペラ「曽根崎心中」の器楽アンサンブルに参加し、93年シリア公演、2003年ロシア公演、2005年韓国公演、新国立劇場における日本公演に参加。
- 1991年には、東京都交響楽団の定期演奏会およびアメリカツアーに、三木稔作曲「序の曲」の三味線ソリストとして参加し、東京のサントリーホール、ニューヨークのカーネギーホールなどで演奏。
- 日本音楽集団の一員として1989年韓国、ベルギー(ユーロパリア89)、90年台湾、94年オーストラリア(アデレード・フェスティヴァル)、北米(ニューヨーク・フィル公演)、98年トルコ、オマーン、イラン(国際交流基金派遣)で演奏。
- 1993年には、ソロ・リサイタルにおいて、現代音楽作曲家3名への委嘱作品演奏および自作演奏をおこなう。
- 1999年からは、作曲家の高橋悠冶が、伝統音楽の流派や様式を超えた音楽を開拓する目的でプロデュースした伝統楽器グループ「糸」のメンバーとして、現代音楽の作曲家による作品を演奏。アリオン音楽財団主催「東京の夏音楽祭 '99」、「京都芸術造形大学舞台芸術研究センター 上演実験シリーズ」(2005年)などに出演。
- 1999年第68回日本音楽コンクール作曲部門における演奏により、委員会特別賞受賞。
- ジャズ・シーンにおける活動
- 1990年からジャズ・シーンに参入。ギターの渡辺香津美、パーカッションの仙波清彦、ヴァイオリンの金子飛鳥、サックスの坂田明や梅津和時らと共演。
- 1995年、国際交流基金主催によるエイジアン・ファンタジー・オーケストラ(団長・渡辺香津美)東南アジア・ツアーに参加。
- ニューミュージック・シーンにおける活動
- 1994年からは、ニューミュージック・シーンで大友良英(ターンテーブル、ギター)、内橋和久(ギター)、エリオット・シャープ(ギター)、サム・ベネット(ドラムス)、デヴィッド・モス(ドラムス)、カール・ストーン(コンピュータ)、ネッド・ローゼンバーグ(サックス)ほかと共演。
- 1994年と97年には、ジョン・ゾーンの「コブラ」(即興によるゲームピース)東京編に参加。95年にCD化。
- 1995年、大友良英率いるアヴァンロック・グループ「Ground-Zero」に参加し、97年のヨーロッパ・ツアーに参加。ボローニアのアンジェリカ・フェスティヴァル、ベオグラードのリングリング・フェスティヴァル、ロンドンのLMCフェスティヴァルでは、バンド・メンバーとしての演奏のほか、ソロ演奏もおこなう。
- 1995年、ヴォーカルの三橋美香子とユニット「キッチン・ドリンカーズ」を結成。日本の伝統音楽、諸民族の音楽、ポップスなどの様々なジャンルの音楽を、独自の解釈によって読み替えた演奏をおこなう。
- 1995年、ブッチ・モリス指揮による「コンダクション」(集団即興)東京公演参加。98年には「コンダクション Japan Skyscraper project」のメンバーとして、ベースの吉沢元治ほかと北米ツアーをおこなう。
- 2003年からカール・ストーンのプロジェクトに参加し、ストーンおよび中国琵琶奏者のミン・シャオフェンと共演。2003年にはドイツ、シュツットガルトの Interaction Tanz Musik、ベルリンのTransonic Festival、フランスのStrasbourg Museumで演奏をおこなう。
- 2005年、ギターのイヴァル・グリドレンと即興音楽によるノルウェイ & スウェーデン・ツアーをおこない、オスロのウルティマ・フェスティヴァルでは、イヴァルとのデュオのほか、鶴見幸代作曲による現代音楽作品を、フローデ・ハルトリ(アコーディオン)、ロルフエリック・ニーストラム(サックス)、ハコン・テリン(ベース)によるトリオ・グループ POIMG と演奏した。
- 2010年、エレクトロニクス、ダンス、人形美術、映像、照明などのクリエーターと協働し、ミュージック・パフォーマンス「Tayutauta」をおこなう。
- ダンサーとの共演
- 1996年、舞踏グループ「友恵しづねと白桃房」と日本IBMにおけるマルチメディア・コラボレーシ
ョンのイヴェントで共演。
- 2001年、日本−フランス・ダンス・プロジェクト実行委員会および関西日仏学院、京都芸術センター主催によるダンス・ワークショップで、フランスのダンサー、オリヴィア・グランビルとそのカンパニーと共演。
- 2003年、シュツットガルトの Interaction Tanz Musik においてドイツのイザベル・シャッドほかと共演。
- 2004年 & 2005年、神戸の角正之と共演。
- シアターにおける活動
- 1992年、劇団四季の夏休みこどもミュージカル「KROEMON」器楽アンサンブルに参加。
- 1999年には、オーストリアの「シュタイヤーマルク秋の現代芸術祭 99」において、ウルリケ・オッティンガー演出の新作シアター・ピース『妖怪変化の婚約譚』の音楽構成・演奏を担当。歌、三味線、箏、胡弓、大正琴を演奏。
- 2000年から、ドイツの作曲家、ハイナー・ゲッベルズ演出の音楽劇『Hashirigaki』に出演し、演奏家およびパフォーマーとしてデビュー。スイス初演以降、スコットランドのエジンバラ・フェスティヴァルを始めとして、イタリア、ドイツ、フランス、ロシア、シンガポール、イギリス、トルコ、北米、香港、ベルギー、オーストラリアに招聘され、2004年まで世界ツアーをおこなう。
- 2004年、ニューヨークのジャパン・ソサエティーにおいて、バジル・ツイストによる新作シアター・ピース『Dogugaeshi』の作曲・演奏を担当し、三味線、箏を演奏。当作品は2005年に The New York Innovative Theater Award、The Bessie's New York Dance and Performance Awards を受賞。
- 2007年秋、『Dogugaeshi』がニューヨークにおいて再演され、続いて日本ツアー、アメリカ・ツアーがおこなわれる。
Last updated: July 20, 2012