奏者:オ トモ シヒ 、アキ マテ ジ 、イ ウア ヒロ、ウナ タ 、オオ ニ シオ、 オ ラマ ヒコ、 オシマ ルユ 、カワ キユ 、 ギモ ク、 シダ ミ、 chik M
作曲:オ トモ シヒ
この作品はオーケストラのための作品です。でも指揮者もいなければ、演奏者各自はいっさいの音楽的なコミュニケーションを互いにとりません。譜面もありません。普通のオーケストラのような楽器構成ももちません。演奏開始時間は予定では7時半ですが、人によってはそれより前から演奏しているかもしれないし、なかなか始まらない人もいるかもしれません。演奏の終了時間も、各演奏者によってまったく異なります。すぐに終わる人もいれば、閉館までやる人もいるかもしれません。普通のコンサートのように演奏の終わりのような節目もありません。ですから、いつ会場を去ってもかまいません。また演奏する場所もきまっていません。また中には演奏には見えないことをやる人もいるかもしれません(でもそれも演奏の一部です)。中央の箱の中でも演奏が行われているかもしれません。勝手に機械だけが音を出す作品があるかもしれません。ですから一箇所で聴くのもいいですが、展示作品を見るように、歩きながら見る(聴く)ほうがいいかもしれません。微弱音の演奏が中心になりますので、会場にこられた方はなるべく静かに、自由に歩きながら、それぞれの演奏者に近づいたり離れたりしながら耳をかたむけてください。演奏者は各自、みな音を出す作業に集中しています(いるとおもいます)。ですから演奏者にふれたり話しかけたりしないであげてください。ヘッドフォンの展示作品はそのままいつもどおり音を出していますので、コンサート中もいつものように作品を鑑賞することも可能です。一見とても自由な空間に見えるかもしれませんが、実はとても不自由な状態でないとバランスが壊れてしまう作品ですので、演奏に参加したりはしないでください。音を出すことではなく、聴くこと、聴き取ることが主役の作品ですので。
オ トモ シヒ
(2005年8月、飴屋法水個展「バ ング ント展」テクストより)