Improvised Music from Japan / Yoshihide Otomo / Information in Japanese

大友良英のJAMJAM日記(2003年5月臨時増刊)

こんにちは。お元気ですが。長いツアーからやっともどってきました〜。時差ぼけしたまんまで、えらく早起きの毎日です。

戻ってきてまっさきに行ったのは、吉祥寺の某そばや。ここホント美味いんですよ。以前イギリスの音楽雑誌ワイアーのアンケートで、地球の最後の日には何を食べるか…という馬鹿馬鹿しい質問があって、これに大真面目に、このそばやの名前を出して答えたら、その後、何人もの来日ミュージシャンにそこに連れて行けとせがまれて…。結局いつも彼等を連れていく羽目になるのはわたしではなくて、中村としまるだったりするんですが…。ちなみに彼もこのそばやの常連で、何度もここで偶然会ってます。え、どこのそばやかって。えへへ、いえませ〜ん。だって、ここ、すごい美味いわりにはすいていて、しかも安いんだもん。

美味いものといえば、最近京都に行くと、かならず行くのが「吉田屋料理店」。ここは旨いですよ〜。しかも女将さんはじめ従業員が皆美人。ツアー中、何度吉祥寺のそばやと吉田屋の夢を見たことか。ちなみにこの吉田屋の女将から教えてもらった京都の「なかじん」ってそばやも、素晴らしかった〜。世界中旨いものはいろいろあれど、やっぱ日本は美味いっす。

え〜、食べてるばっかじゃありません。帰国早々、田口トモロヲ初監督作品『アイデン & ティティ』に取り掛かってます。これ、原作みうらじゅん、脚本宮藤官九郎の青春バンドもので、バンドの音楽を白井良明、ここに出てくるロックの神様の音楽をエンケンさんが担当していて、オレがやるのはいわゆる劇伴。これが終わると、次には竹下昌男監督の『ジャンプ』がひかえていて、7月の京都公演まで当分は缶詰の毎日です。竹下監督は根岸吉太郎監督の助監だった人で初監督作品。『blue』の音楽を聴いて、話をくれたみたいです。その『blue』のほうはおかげさまで6月6日まで渋谷で上映中で、とりあえずは商業的にも成功で胸をなでおろしてます。なにしろ商業映画は内容もさることながら売れてなんぼ…みたいな世界ですから、これで当分は安藤監督の夜逃げの心配をしなくて済む。へへへ

ライヴのほうもいくつかあります。まずは明日(5月30日)、明大前のキッド・アイラックでバルセロナの若手インプロヴァイザーの演奏が見れます。これ宇波くんが日本に呼んできたのですが、CDを聴く限りでは、すごくいいですよ。他には、大蔵雅彦、吉田アミ、宇波拓のトリオと、Sachiko M,中村としまる、私のトリオ…これは初ステージになります。そうそう、その吉田アミとSachiko MのCOSMOSと、吉田アミ、ユタカワサキのASTRO TWINのFMN SOUND FACTRYの2枚組CD『COSMOS / ASTRO TWIN』がなんと、今年のARS ELECTRONICAのデジタル・ミュージック部門の大賞に選ばれました。「おめでとう!」。これ、オーストリアのリンツで毎年行われているデジタル・アート最大のフェスティヴァルで、昨年は刀根さん、おととしは池田亮治さん、その前はモリ・イクエさん…。なんかここのとこ音楽部門は日本人ばっかで、いいのかいなと思いますが、ま、実際、驚くくらいこの4組の傾向が違っていて、でもその独自性とクオリティの高さ、なにより、皆ある方向を極端に推し進めているという点では共通して他に例がないくらいラディカルな音楽だし、そんなわけで審査員の判断は的確に思えます。ちなみに3年前にオレに審査員のさそいが来たのですが、600組くらいの応募があると聞い て断りました。そんなに音楽聴いたら、音楽が嫌いになってしまう(苦笑)。今はたしかデビッド・トゥープなんかが審査員に入っているんじゃないかな。

ところでこの朗報を聞いた京都のFMN SOUND FACTRYの敬愛する石橋さんは 開口一番「なんや? それ?」と言ったそうです。GREAT! 世界中の電子音楽系のレーベルがここの賞をとりたくて、毎年やっきになってるってのに、あはは。賞にはさほどの興味もありませんが、日本ではほとんど注目されることのない京都の個人レーベルやら、アカデミックな世界とも商業音楽の世界とも、ほぼ無縁に、マイペースな、ある意味ピュアな活動をし続けている音楽家にもちゃんと光をあてるという意味では、昨年のノーベル賞をとったサラリーマンの人じゃないけど、こういう賞も意味があるのかもしれません。でも、きっと日本では新聞にも出ないんじゃないかな〜。


わたしもメンバーの杉本拓ギター・カルテットのCDがドイツから出ました。これすごく気にいってます。ほとんど音がはいってないのですがでも空気の感じや、たまに聴こえるギターの音が本当によくて。こういうの好きな人は、通販で見てみてください。


7月15日の新宿PIT INNのONJQ現行メンバーのラスト・ライヴですが、相当の混雑が予想されますので、来場ご希望の方は、PITINNのほうに問い合わせてください。チケットは6月7日からのPIT INN売りのみになります。

なを6月28日青山CAYのONJQ+OEのライヴでもONJQ単独の演奏を1時間以上、たっぷりやりますので、PIT INNのチケットがとれなかった方はこちらのほうにぜひいらしてください。無論OEさんとの1回きりのセットもお楽しみに。ONJQの活動はこの2公演とその直後のスタジオ・レコーディング(DIWから年内に発売予定)で、当分休止します。再始動はおそらく来年、それもまったく形をかえる(もしかして名前もかえる)かもしれません。今のところは、少人数のオーケストラのようなものを想定していますが、いずれにしろ、すこし時間を置いてじっくりと考えたいと思っています。


7月13日 京都大学西部講堂 午後3時開場・開演
  DCPRG、blue(大友良英g、栗原正己recorder、江藤直子key、西村雄介b、芳垣安洋ds、魚喃キリコperc)他
詳細はhttp://www.kyoto-seika.ac.jp/garden/b2003/p_hour.html
この前日に京都精華大学での講義もあります。こっちのほうはすでに定員をこえそうなので、ご希望の方は早めに応募してくださいね。


今日はこれから調布の日活のスタジオに行って田口組の仕事ののち、吉祥寺のスター・パインズ・カフェに飛び込んで、敬愛するTOYミュージシャン、イトケンとDUOです

ではでは〜、会場で!


Last updated: May 29, 2003