Improvised Music from Japan / Yoshihide Otomo / Information in Japanese

大友良英のJAMJAM日記 from NY(2003年11月特別号)

どうも〜大友です。またまたご無沙汰してしまいました〜。お元気ですか〜。

実は昨日ニューヨークのトニックでマルタン・テトロとライヴで、その時に2人のNY在住の方からJAMJAMを読んでるっていわれて、急に思い出してこうして書いてる次第です。

前回たしか9月末のイタリアまで書いたと思うのですが、そのあとはソウル、フランクフルト、ベルリン、エーテボリ、東京、バンクーバー、シアトル、ウィニペグ(もう雪でした)、トロント、ケベック、モントリオールとまわって、今はNYで、このあとはボストン、東京、そしてリバプール…過酷なツアーと度重なるエコノミー・クラスの長距離フライトがたたって、とうとう頚椎をやられて左腕が痛みとともに、しびれてしまってます…。う〜ん、こまったもんだ。今度もどったら本格的に治療をしなくては…。もう体は若くないんすね〜、最近髪の毛のほうもね、少なくなり出してるし(しょぼ〜ん)。

え〜、ベルリンの旧東側プレンツアウアーベルグ周辺の音楽シーンがめちゃくちゃ面白くて、おまけに昔はたいして美味い店のなかったベルリンに沢山おいしいレストランができて、今回はもう、一発でベルリンが大好きになってしまいました。来年はここに2〜3ヶ月はいることになりそうです。

ところで、トニックではツアー中の日本のバンドExiasと一緒になったり、地下ではターンテーブルのToshio Kajiwaraが毎週やってる企画を見たり(これ、とてもいい感じで、すごいおもしろそう)、あとは広島で共演したことある松崎くんが今NYにいて、来てくれたりでちょっとした日本人コミュニティみたいでした。なにより驚いたのは、なんと戸川純さんがひょっこり来たこと。まさかいるとは思わなかった。もうびっくり。彼女とはいろいろここには絶対書けないような裏話やら、ゴシップの話で盛り上がりました〜。なにより彼女がとっても元気そうなんで、ちょっとうれしくなりました。

さてさて、ここのとこさんざん書いてきたケベックのターンテーブル奏者マルタン・テトロですが、今も彼といっしょにチャイナタウンでベトナム料理を食べて、リトルイタリーでお茶してたところです。彼のことは、音楽もですが、生き方も、人間も、そして「顔」も好きなんですよね〜。ツアーしてても実に気持ちがいいし、楽しい。で、彼、今月日本に来ます。東京は一本だけ。11月11日(火)六本木の「スーパー・デラックス」でマルタン・テトロー、ジアン・ラブロッセ、フィラメント(Sachiko M、大友良英) 、竹村ノブカズって編成で、多分いろいろなバリエーションでやることになると思います。え〜と、この時に、マルタンとわたしの3インチミニCD3枚組みボックスセットや、竹村、大友の新作『ターンテーブルズ & コンピュータズ』も出る予定です。問い合わせはHEADZ 03-3770-5721 まで。

関西方面の方は、京都アンデパンダンや大阪ブリッジでも11月後半にコンサートあるはずですので、情報誌等チェックしてみてください。独特の音楽が聴けるはずです。

それからONJQの新作『Tails Out』もDIWから今月末に出ます。おそらく現メンバーでのラストレコーディングになります。レコ発は2月6、7日に「新宿ピットイン」。今後はサックスに菊地成孔が出たり入ったりしつつ、日本では敬愛する巨匠アルフレート・ハルトが、欧州公演ではやはり大好きなマツ・グスタフソンが入ってくれて、さらには随時ゲストも入りつつONJQはクインテットと名乗りながら時に5人ではない編成で、崩壊と更新を繰り返していく予定です。まずは本作を聴いてみてください。かなり変化してきているのがわかるはずですし、なにより、いい作品になったと自信を持っていえる作品です。

もうひとつ12月上旬のビル・ラズウェル、芳垣安洋とのトリオ「SOUP」のファースト・アルバムがP-ヴァインから出ます。エディットはわたし、ミックスはビル。これはもうかなりストレートなロック・ギター・アルバムといってもいい内容です。ここまでストレートにギターを弾いたアルバムはこれが初めてかもしれません。DCPRGをやめて、わたしのギンギンしたギターが聴けなくて…といってくれたごくごく一部のみなさん、ここで充分聴けますので、ぜひいらしてくださいね〜。レコ発ライブは12月14日(日)15日(月)「新宿ピットイン」にて。大友良英、ビル・ラズウェル、芳垣安洋、15日のみゲスト菊地成孔、勝井祐二。

PIT INNではこの翌日12月16日にNYの若手フリージャズ・サックスで、今欧州で最も注目されているAssif Tsaharと、ボストンの即興シーンで注目を集め、現在はNYに拠点を移したパーカッションのTatsuya Nakataniの日本での初コンサートがあります。これ、実はすごい楽しみにしています。なにしろ中谷さんはここのところ注目を集めるボストン・シーンでも傑出した存在だった人で、しかも今はNYに移って、さらに次の方向を模索しているところです。おまけに昨日初めて会って話しをしたら、なんとまだ日本にいた80年代に、ナスノミツルと一緒にバンドをやってたそうで、そんなわけで皆さん、ぜひぜひ来て見てください。共演はほかにコントラバスの菊地雅晃、それから、フリージャズとは初共演の宇波拓、それに私です。

それから現在、Filamnet BOXの製作が進行中です。Sachiko Mが今頃東京で、これまでの膨大なライブ録音から選曲作業をしているところで、さらにスタジオでの新録も加えて数枚組のBOXになる予定です。すべて未発表の作品で、この中に収録予定の2000年に ブリュッセルでやったライブが特にわたしのお気に入りです。発売は来年初頭、京都の敬愛する石橋さんがやってるFMNサウンドファクトリーから出ます〜。おたのしみに。

ほかにも東京、名古屋、京都、山口でANODEのコンサートがありますが、詳細はまたメールします。

あ、そうそうJAMJAM日記の配信が1ヶ月とまっている間に、実はweb-cri.comという現代音楽系の批評家が集まって運営しているページに10月に、東京でやったリュック・フェラーリとのコンサートをJAMJAM風に辛口、甘口あわせてインサイド・レポートしました。ぜひぜひ読んでみてください。web-cri.comのinside reportのページの「古いレコード棚から救出されたアーカイヴ」(JAMJAM日記 リュック・フェラーリ特別編)で読むことできます。

レクチャー好きの人にはこんなのも

11月19日(水)東京、渋谷「アップリンク・ファクトリー」午後7時30分開場
『UNKNOWNMIX RETURNS Vol. 2』
佐々木敦
ゲスト:大友良英 2,500円(1ドリンク付き)

11月28日(金)京都「京都精華大学」午後6時30分〜8時30分
『音楽表現講座〜音と映像の作用、反作用』
大友良英のつくる映画音楽

12月5日(金)京都「京都精華大学」午後6時30分〜8時30分
『音楽表現講座〜音と映像の作用、反作用』
対談:大友良英 vs 岸野雄一

今日は久々のオフで、これから、昨年一緒に過酷なターンテーブルヘル・イギリス・ツアーをこなした朋友マルタン・テトロとNYのターンテーブル奏者マリーナ・ローゼンフィールドとともに日本食屋にいって同窓会をやりま〜す。

ではでは〜

大友良英


追伸
あ、そうそう、地味なこというようですが、みんな今回は選挙にいきましょうね〜。入れたい奴なんていないのはわかってるけど、戦争に口で反対した人たち(デモも含めて)は実際に自分の意見を表明できる投票で、なんらかの意思を示すべきだ…と、わたしは思っています。実際にニュースで戦争の映像が流れている時に「反対」を言う以上に、今この時期にそうした意思を継続することのほうが、はるかに大変だとは思います。だからわたしは「戦争と日常と」という文章を3月に書いたのです。こういうことは戦争で盛り上がった時だけじゃなくて、こうした毎日のなかでも継続されるべきだとわたしは考えています。戦争に賛成した政党が大勝してしまえば、日本の意見としてブッシュに賛成したことになっちゃうわけですから。入れたい人がいなくてもそうした政党を大勝させないために、あなたの1票の使い道を考えてください。いままで選挙に行ってない膨大な人たちの浮動票が動けば、なんらかの力になるばずです。


Last updated: November 4, 2003