Improvised Music from Japan / Yoshihide Otomo / Information in Japanese

大友良英のJAMJAM日記(2004年1月)

どうも。え〜と浅草のアサヒスクエア(うんこビルのことね)4階にあるホールでP3カフェ・ナイトというイベントを連日やっていて、で24日土曜日にひさびさThe blue bandが出ます。90分たっぷり「blue」を中心に、わたしの映画音楽を演奏します。よろしかったらぜひいらしてくださ〜い。おいしい食事の楽しめるイベントみたいなので、くつろいだ感じで、少しおしゃべりなんかもしながらやりたいなと思っています。え〜、それから、待望インサイド・ピアノのアンドレア・ノイマンとエレクトロアコースティック・ギターのアネッタ・クレプスのDUOが来日します。ベルリン即興シーンの最重要人物であることはいうまでもありませんが、私にとってもこの2人との出会いは非常に大きなものでした(アネッタはANODEに、アンドレアは Ensemble Cathode に参加してもらってます)。特に99年オーストリアで見た彼女たちの演奏は、これまでの即興とは異なる何かをわたしに見せてくれたといっても過言ではありません。あ、ONJQのレコ発ライブのほうもよろしくです。80年代より非常に敬愛している欧州即興の巨匠アルフレート・ハルト氏がなんと新メンバーとして加わることになりました。今回は菊地成孔とのバトンタッチのライブと同時に、大編成化への布石にもなるライブです。詳細は下のほうにつけておきます。

では1月の日記です。


@月@日
古いアナログのオープンテープ・レコーダーやらプレイヤーを運んでいたらぎっくり腰に。どれもつい最近ヤフー・オークションで落としたものだ。昔の機械はいい音を出してくれるけど重いっす。明日から国内ツアーなのに、大丈夫かオレ。

@月@日
ぎっくり腰のまま京都アンデパンダンへ。Filamentのライブ。本番前いよいよきつくなり、京都の大物女将Yさんに彼女の行きつけの整骨医にかつぎこんでもらう。助かりました〜。さんきゅ。で、これが大正解。ほとんど歩けない状態で行って、帰りは歩いて帰ってきた。この先生はかなりの音楽好きで、これが縁で友達になり、打ち上げにも一緒に行く仲に。ちなみにFilamentのライブは腰痛にもめげず、かなりいい内容だったんじゃないだろうか。この日の演奏は春に発売になるBOXセットに入るかもしれない。終演後は、例によっていつものメンバーでいつもの料理屋へ。「おかいりなさ〜い」の出迎えに涙がでました。明け方まで「旨い、旨い」を連発しながら楽しいひととき。

@月@日
あ〜、明け方までわいわいやったむくいか。腰が痛い〜。これ、もしかしたら新年の大掃除で捨てたCDRの怨念かも。JAMJAMの新年号で、いただいたCDRを大量に捨てたことを書いたら、早々反響。京都でたまたま会った青年にショックだと言われ、若い友人にはもうCDRはあげませんと言われてしまった。う〜ん、オレにCDRをくれた皆さんごめんなさいね。でも想像してください。ツアーをしていると毎日のようにCDRをもらい、家にもどると大量のCDRの山。とてもじゃないけど、全部なんて聴けないし、しつこく感想を求めてくる人に答えられるほどオレは親切じゃあないし、時間もない。音楽の感想を言うのはそれなりにエネルギーのいる作業だからだ。わかってください。うらまんといてください。

@月@日
神戸ビッグアップル。芳垣安洋のバンド Emergency! のツアー初日。腰の具合は一進一退。2ステージ目の後半は、とうとう指に力が入らなくなる。あ〜、もうオレも焼きが回ったもんだ。終了後は店長近藤さんの、まるでキャンプでやるような強烈な鍋。でも旨かった〜。この日は、さすがに早めにホテルへ。

@月@日
4日間にわたる Emergency! のツアーも無事終了し、今日は新宿PIT INN。ツアーの後半はなんとか腰の具合もよくなり、乗り切る。久々に自分のアンプで演奏…やっぱり自分のアンプがいい。もうひとりのギタリスト斉藤良一(僕らは彼を社長 と呼んでいる)も、ツアー中よりも全然いい音を出している。2人とも使っているのは60年代中期のフェンダーのアンプ。エレクトリック・ギターの音色はアンプ込みでなんぼ、次回のツアーからはなにがあっても自分のアンプを持っていこう。この日は会場に敬愛する清水俊彦先生の姿が。演奏終了後は、清水先生といつものメンバーで、いつも行く近くの蕎麦屋へ。先生いつまでも元気でいてくださいね。

@月@日
新宿ゴールデン街の小さなカウンター・バー「裏窓」でアコースティック・ギターのソロ。アコギだけで2セットものソロをやるのは初めて。映画音楽のナンバーやJAZZの曲、それに即興も。自分なりにいい感触。アコギ・ソロ、本腰を入れて続けよう。お店もすばらしかった。昔むかし、オレが高校生だったころよく行ったJAZZ喫茶のような香りがしつつも、ちゃんと今の空気もあって。こんな機会をつくってくれたマスターにママさん、ありがとう。この日は、お酒が飲めた80年代の前半によく行った区役所裏のバー「ばるぼら」のマスターのまさみさんや当時ママさんだったにゃんこさんも来てくれた。なんだか涙がでるほどうれしい。まさみさんはゴールデン街に3つも店をだして今やこのあたりの「顔」らしい。しばらくご無沙汰していたけど、またこの界隈にもちょくちょく顔をだすことにしよう。

@月@日
Sachiko Mのプロデュースのもと、Filament BOXの録音とライブからの選曲。これすごいエクストリームな内容になりそう。こんなアルバムを作ってくれる京都FMNの石橋さんには足を向けて寝れない。特にオッシレーターの蓋を開けて、配線を切ったりつないだりしながら録音した最新作はいいですよ〜。電気屋の息子じゃなきゃ出来ない演奏…なんて自分で言ってみたりして。アコースティック・ギターといい、配線基盤直演奏といい、新年早々、自分なりの新機軸がでてきて、気分的には腰痛を吹き飛ばす勢い。そういえばいつも通っているカイロの先生に、ぎっくり腰になったら必ず冷やして、正しい姿勢でひたすら歩きなさいと言われた。今まで考えていた暖めて安静とは逆。頚椎ヘルニアを直してもらって以降、わたしはこの先生を信頼している。要は甘やかしちゃいけないってことらしい。音楽も同じだ。人間もがいてみるもんだ。作り続ける中から次が出てくる。


『the blue band』
1月24日午後7時開場、8時開演
入場料:2500円
会場:アサヒスクエア(うんこビルのことです)  アサヒスーパードライホール4F
東京都墨田区吾妻橋1-23-1
最寄り駅 地下鉄銀座線、または都営浅草線 浅草駅より2分(駅をおりて吾妻橋をわたってすぐ)地図

  the "blue" band:大友良英(ギター)、栗原正己(リコーダー)、江藤直子(エレクトリック・ピアノ、オルガン、シンセサイザー)、西村雄介(ベース)、芳垣安洋(ドラムス、トランペット)、魚喃キリコ(ボンボ)
オープニングDJ:安藤尋(blue 監督)
Food Coordination : Happy Foodによるおいしい料理の数々

問合せ:P3(電話:03-3353-6866 / maru@p3.org / http://www.p3.org/japanese/cafenight.html)


『アンドレア・ノイマン & アネッタ・クレプス来日公演 飛び石 2 デイズ』
東京、明大前「キッド・アイラック・アート・ホール」
1月30日(金)午後7時開演
アンドレア・ノイマン、アネッタ・クレプス デュオ
宇波拓、Mattin(コンピュータ・フィードバック)デュオ / 秋山徹次、大友良英 デュオ
前売り 2,000円、当日 2,300円(2日間通し券 4,200円)

2月1日(日)午後4時開演
『アンドレア・ノイマン & アネッタ・クレプス来日公演 飛び石 2 デイズ』
杉本拓、アネッタ・クレプス デュオ / 中村としまる、アンドレア・ノイマン デュオ / アンドレア・ノイマン、アネッタ・クレプス、Sachiko M トリオ / アンドレア・ノイマン、アネッタ・クレプス作曲作品(演奏:杉本拓、中村としまる、秋山徹次、Sachiko M、宇波拓、大友良英)
前売り2,500円、当日 2,800円(2日間通し券 4,200円)

問合せ キッド・アイラック・アート・ホール 03-3322-5564


『ONJQ "Tails Out" 発売記念 2 Days』
新宿PIT INN 03-3354-2024
2月6日(金)午後7時30分開演
ONJQ:大友良英(ギター)、アルフレート・ハルト(サックス、バス・クラリネットほか)、菊地成孔(テナー・サックス)、津上研太(アルト・サックス、ソプラノ・サックス)、水谷浩章(ベース)、芳垣安洋(ドラムス、トランペット)

2月7日(土)午後7時30分開演
ONJQ:大友良英(ギター)、アルフレート・ハルト(サックス、バス・クラリネットほか)、菊地成孔(テナー・サックス)、津上研太(アルト・サックス、ソプラノ・サックス)、水谷浩章(ベース)、芳垣安洋(ドラムス、トランペット)


Last updated: January 21, 2004