私はロビー・ロバートソンのマネをしている。彼は、実は変態ギタリストの祖である。このことを私は20年来くり返し言ってきたつもりだ(ミニコミとかで)。
ところが、一般にロビー・ロバートソンは、けっこう渋めの、土臭い、レイドバックしたプレイヤーだと思われていて、私はいつも驚く。いいですか皆さん。物事の本質を的確に判断する能力は、身につけておいた方がよろしいですよ。ロビー・ロバートソンは変態です。
むろん彼は、カントリー、R & B、R & Rなどのグッド・オールド・アメリカン・ミュージックが大好ぎだろうし、そうした音楽の影響下にギターを始めたに違いない。よって、彼の音楽がカントリー・ロック的文脈で語られることが多いのも仕方ないことだと思う。にも関わらず、である。ロビー・ロバートソンという人の本質はやはり変態なのだと思わせるフシが、数多く存在するのだ。
大体、ザ・バンドというグルーブの音楽自体、どう聴いてもタダモノではない。私に言わせるなら、あれはパンクであり、プログレであるが、そのようなバンドの個性の核になっていたのが、ロビーだった。例えば「クリプル・クリーク」で聴ける、ポップコーンのように強烈にカッコ良く、渇いてハジケるプレイ。「カーニバル」で聴かれる、へ〜ンなトレモロがかかったカッティングのセンスなど、凡百のカントリー・ロッカーなどには到底思いもつかないような革新的なものばかり。奏法的にはピッキング・ハーモニクスの発明者として有名だが、他にも注目すべき変態技を数多く編み出している。そしてそれら変態技は、ザ・バンドの中でというより、他のアーティストをプロデュースする際に、より多く効果的に散りばめられていたと思う。そういった意味で私は、ロビーと資質的に最も近いギタリストとして、XTCのアンディ・パートリッジをあげたい。そう言えばXTCも、1stでボブ・ディランをカバーしてたっけ。
山本精一による名演5選
ギターマガジン 1995年7月「ザ・バンド特集」