Improvised Music from Japan / Seiichi Yamamoto / Information in Japanese

プライヴェイト・チャート 10

山本精一

 愛聴盤というのは、回数を多く聴くので、愛聴盤なのか? それほど繰り返し聴かなくても、何かいつも気になっていて、年に一回は聴いてしまうような作品も有って、これもまた愛聴盤には違いないと思う。知人のノイズ・アーティストなんかは、「俺にとっては、一回聴いたら耐えられなくなって即、ゴミ箱!みたいなアルバムこそ名盤であって、何度も聴き返したり、じっくり味わったりできるような音楽など、低俗で下らない。したがって、俺にとって" 愛聴盤 " なんか有り得ない」とまで断言するが、これはどうか? 私はそういう風には、思わない。彼は即興演奏をメインに活動している人なので、音を出すという行為の一過性や不可逆性に力点を置いた考え方をする。彼の思想自体を別に云々するものではないが、この考えは、即興音楽にとってのみ有効であって、複製芸術であるレコード作品には、当てはめることができないと思う。レコードは繰り返し聴かれなければ意味がない。なぜなら、全てのレコードは、リピートされることを前提に作られるからである。繰り返し聴くのがイヤなら、ライヴだけを見に行けば良い。レコードというのは、ライヴでは到底できないようなアプローチを行う場である。ロックはやっぱりライヴだなんて言う人々はアホである。ライヴとレコードは別モノだ。ライヴの乗りそのままをレコードに持ち込んだような人の作品は、私は嫌いだ。そういうテンションは、ライヴだけで充分のはず。レコード・アルバムというのは、もっとじっくり何度でも何度でも聴き続けたくなるものでなければ無意味だ。だってそういうレコード以外持ってきてもしょうがないもん。ここにあげた10枚は、それぞれ今まで2百回くらいは聴いた名作ばかり。どれも皆、独自のポップでヤバイ音世界を、45分にパッケージングしていて、音ひとつひとつに大変旨みが有るので、永遠に飽きることがない。

スタジオ・ボイス vol. 260 (1997)
特集「Greatest Records」


Last updated: July 7, 2001