ぱぱぼっくすは、いい唄をつくって、歌っているので良いと思う。ちゃんと「歌詞」を歌ってるし。「歌詞」を歌うっていうのは、実はちょっと難しいのだ。どう言えばいいかな。とても簡単に言うと、「曲」と「歌詞」が、バラバラでなくて、自然にひとつの「うた」として聴き手に伝わるように歌う(そんな感じが近いかな)のは、かなり難しいということ。曲と詞の関係に、ムリがあったり、過不足があったりすると、歌う以前にギクシャクしてしまうし、そのまま歌ったところで、どこか歪んだものになっちゃいます。そういうのも「味」だとか、素人っぽさを「イノセント」だとか、ぼくはそんな風には思わない。ぱぱぼっくすは、まだデビューして、そんなに経ってないので、まだまだつたないところなんかは当然あるけれども、うたを扱うバンドが一番にクリアしなければならない大切な部分一「歌詞」を持ち得ているか、そして、それを歌詞として歌えているか?一が、キチンとできているので、大丈夫なのだ。核がしっかりしている音楽は強い。少々の事をしても、基本線がゆるがない。ノイズを入れようが、テクノを導入しようが、突然音響派になろうが、ぱぱぼっくすの音楽は、どうであってもぱぱぼっくすなのだ。このまま、どんどんいい唄をつくっていって欲しいと、シンプルにそう思います。このアルバムの曲の中では、「雨もよひ」と「ハジマル」が特にいい。「ハジマル」は、ベストチューンだろう。こういう曲はなかなか、コンスタントには書けないものなのだけれど、なんとかできれば3曲に1曲くらいの割合で、生み出していって下さい。それにしてもこの曲、もう少し聴きたいとな。あと1, 2コーラスあっても、ぜんぜんOKだったと思う。
山本精一
ぱぱぼっくす「ぱぱぼっくす」ライナーノーツ(ギューン・カセッツ、cscd-09 )