俺は今猛烈に感動している。ここに収められた、絶望的に素晴しい、地獄のNTTのような間違ったインフォメーションに。これは最早、楽曲ではない。マラソンに近いものだろう。こういう音を聴いて、人は消滅したりするものだ。ある種の化石の中に、こんなバンドを発見することもある。ヴォーカルが「愛」と叫ぶとき、オレは絶対に「ピース」と返したい。魂のマンダラ。100万回のFUCK OFFより、この水入ヒョウタンのようなバスドラの連打。バスドラ自体が、イノチガケで俺を揺さぶる。俺は確かに受けとめたつもりだ。俺こそが、この魔のバンドサウンドの中心に居るのだということを。実体など、どうでも良い。ただ一心に「あほ」なんだ。
もうあらゆることは、ど一でも良いのだ。死ぬほどしようもないことを、男子一生の仕事としてやり通し、必ず失敗する。その後の長い余生としてのインディーズ人生。ヤドカリのように、CDを出し、カセットを出す。それでいいのだ。それでいいのか? このアルバムには、その解答の全て+αが示されている。そして、本質的にギャルバンだ。ギャルの持つパワーの少なからぬ部分を、驚くべきことにこのバンドは持ち得ている。一番の真実とは、最高にデッチ上げられたウソなのだということ、音楽というもの自体、本来的に自己、他者ともに仕掛ける、大ペテン、悪業ざんまいなのだということを、特に、1曲目と、8曲目において確認できる。どの曲がいいとか悪いとか、そんなものカンケイなしの、非常に高度な、アホガニーサウンドの誕生を、皆とともに喜びたい。
93. 5. 1 京都・下鴨の宿にて
ありぢごく「カツ丼とパンチラ」ライナーノーツ(殺害塩化ビニール、CHIPONINPE CD-1111 、1993)