Improvised Music from Japan

田中悠美子 CD たゆたうた ライナー・ノート

〜このCDを聴いてくださる方へ〜
以下の奏者自身によるメモによって、あなたの自由な聴取を邪魔したくありません。ご自分の好きなように聴いていただきたいのです。しかしながら、もしこのメモがあなたにとって必要ならば、是非お読み下さい。

  1. 古池や
    義太夫三味線に本来備わっている豊かな倍音を辿ってみた。禅の修行ってこんな感じなのかな?

  2. 風が遠くで
    かすれたり、ねじれたり、きしんだりする '不自由な' 音もまた楽しい。

  3. 雨やどり
    三味線は撥で演奏しなくちゃ '良い音' が出ない、ということはなかったんだ。

  4. ゆき
    与謝蕪村の筆による「夜色楼台図」のイメージと重なった。

  5. 地霊
    日本では古くから、宗教者によって悪霊が地面の底へと踏み鎮められる風習があった。そういえば、三味線の音は地の底に向かって響いているなあ、と感じたことがある。

  6. 流転
    何年も前、ある人に横山大観の「生々流転」を義太夫三味線で表現することを約束したが、いまだ果たせずにいる。

  7. 山の端
    山の向こうには「あの世」があるという。道理で、山を眺めているだけで幸せな気分になれる訳だ。

  8. おとづれ
    死者の魂は、風が吹いてくる音とともにやってくる。

  9. たゆた
    知らない街をあてどなくさまよい続けよう。ずっと、ずっとーー。道連れはないけれど、歌が友達だ。

  10. The Gateway
    そして、再び異次元への旅立ちである。

    田中悠美子