Improvised Music from Japan

CD『Meeting at Off Site Vol. 1』 ライナーノート

中村としまる秋山徹次、それから現在はプロジェクトを脱退している杉本拓が、バー青山から代々木のオフサイトに即興ミーティングの場を移して、2002年3月でちょうど20ヶ月。このCDはその最初の15ヶ月分のライヴ録音からの抜粋コンピレーション。そういう意味では、CD「the improvisation meeting at Bar Aoyama」の続編とも言える。月例で国内外からのゲストを交えての即興演奏というスタイルは変わらない。変わったのは会場の立地条件で、高速道路沿いから民家が軒を接しあう路地奥に移った。それに伴い、演奏に飛びこんでくる音も、車やバイクの疾走音から、豆腐売りの笛や火の用心の拍子木と触れまわり声に変わった。こそこそと続けてきたシリーズらしく、録音に残された音もこそこそというかぼそぼそと独り言のようにも聞こえるところがある。でもこれらのこそこそ・ぼそぼそは、ほとんどの独り言と同様、実は人々に聴かれたがっている、とも思う。

文:中村としまる