Improvised Music from Japan, IMJ-513
2003年12月発売
価格 2,000 円 + 税
中村としまる:Fender Telecaster、Gibson ES-125
中村としまるはミキサーを楽器として使用する即興演奏家で、外部音源を入力せずミキサー内部のフィードバックをコントロールして演奏するという特異な演奏スタイル(彼自身はこの楽器をノーインプット・ミキシング・ボード [no-input mixing board] と称している)での活動をメインとしている。国内外で精力的にライヴ演奏をおこない、特に欧米で非常に高い人気と評価を得るに至っている。しかし、中村は元々、ギター奏者だった。そんな彼が満を持して制作したソロ・ギター・アルバムが本作。タイトルの「サイド・ギター」は、1960〜70年代の日本でのグループ・サウンズ全盛期に、リズムを担当した二人目のギターの呼び名から来ている。当時のサイド・ギターに憧れを抱いていた中村の、これはオマージュでもある。とはいえ、このアルバム・タイトルや「リズム・ギター」という曲目に惑わされてはいけない。ここに収められた演奏(2003年録音の全3曲)は、やはりノーインプット・ミキシング・ボードでの演奏で聴かれる中村らしい、フィードバックを主体にしたシンプルでアブストラクトなサウンドだ。30年前サイド・ギターに憧れていた自分を思い出して、嬉々としてやりたいようにサウンドを構築している中村の姿が音の向こうで目に見えるようだ。