サルディニア島、パラウでのフェスティバルは、屋外ステージで三夜行われました。この島はまさに地上の楽園。気分はリゾートです。主催者のパウロ・アンジェリは美しい形態の改造ギターを奏でる即興演奏家でもあり、サルディニアの四声合唱など、途絶えようとしている伝統音楽の研究家でもあります。ここで生まれ育った彼は、フェスティバルを仕切りながらも、昼間は毎日美しい海で泳がなければなりません。夜になると風が強くなるので、屋外の客席では長袖がいるほど涼しくなります。フィル・ミントンとヴェリャン・ウェストンのデュオは、歌とピアノの譜面を風に吹き飛ばされないよう、洗濯ピンで止めながらの熱演。すっかりリゾートな私としては、演奏前になかなかガッツがでてこなくてちょっとこまりましたが、ソロ演奏を終えて、再びリゾート気分に浸ります。エストニア出身のネ・ジダリの演奏を二年ぶりに楽しみました。最後は、ダブル・ベースの先に滑車をつけたモトトゥラバッソが、各出演者と短い即興をしては、行進しながら海辺に向かいます。彼はコミカルに叫びながら舟を漕ぎだしていってしまいました。「海さん、さようなら。」そんな感じのフィナーレが、浜辺では鳴り響いていました。
2000年8月 Haco