Improvised Music from Japan / Haco / Information in Japanese

Hacoの2000年ヨーロッパ・フェスティヴァル・リポート

ベルギー、ゲントのVooruit Geluid Festivalにて、私はソロ出演のほかは5日間もプロの客として居座っていました。ミュージシャンたちは同じホテルに滞在しているので、朝早起きのユージン・チャドボーンと私はいつもブレックファーストを一緒に食べることに。ユージンは地元のミュージシャン20人と即興演奏のワークショップを4日間行い、おしゃべりな若手音楽家と一日中格闘したあげく、疲れ果てて他のコンサートは一つも見れずじまいです。こちらはイヴァ・ビトバ & チコリ、エリック・M & カトリーヌ・ジョニオー、ルネ・ルシエ & マルタン・テトロー、ボブ・オスタータグ & 大友良英など、おいしいプログラムをたんまり見れてほんと得した気分。毎夜の飲み友だちはマルタンとルネです。マルタンとは実験音楽系フェスティバルで顔を会わせてこれで四回めですが、いつもポップ・ミュージック談義に花が咲くのです。彼はビートルズのフランス語バージョンや"LIVE IN 武道館"ものを収集しているそう。ルネの「僕たちの音楽って、セミ・ポップよね。」には一笑しました。だけど最終 日のユージンと20人のコンサートは圧巻でした。溢れるユーモアとアメリカ音楽のルーツを一周したようなそのテキストと、演奏家たちの作り出したヘンテコなうきうき感には、もう私うるうるしてしまったほどです。

ロンドン、LMC Festivalでは、HOAHIO(八木美知依とのデユオ)で出演。なんと会場は由緒正しいクイーン・エリザベス・ホールです。私達の前にはチャールズ・ヘイワードのソロ、後にはリー・ラナルド(ソニック・ユース)とウイリアム・ホッカー & ガートヤン・プリンスのトリオが演奏することに。いやぁ緊張するかしらと思ったんですけど、ここのサウンドがすごく優秀で、非常にやりやすかったんです。私たちの演奏は短いものでしたが、リーさんはすごく興味をもってくださって「明日スコットラ ンドに行くの? だったら一緒に演奏しない?」なんて。スコットランドのLe Weekend Festivalのスケジュールはお互いスレ違いだったので実現できませんでしたが、嬉しいのなんのって、まったく励みにもなりますね。次の日のLMCには、中村としまるのソロ、ジャン・エルベ・ペロン(ファウスト)に地元クリス・カトラーとサイモンさんの応援演奏、アンナ・ホムラーとスティーヴ・ベレスフォード & リチャード・サンダーソンなどが出演。中村さんの演奏中にモニターが壊れてもくもくと煙りがでてきたのには驚きましたが、場内から喝采が起こりました。数あるエクスペリメンタル系フェスティバルの中でも、このLMCほどシニカルな、ある意味では壊れたプログラムを提供する場を、私は他に知りません。

他にもフェスティバル出演はありましたが、オーディエンスとして見れてリポートできるのは、まぁこんなところでしょうか。

2000年6月 Haco


Last updated: June 15, 2000