(a) 佐藤通弘 -- 即興曲 (26:39) (Disc 8, Track 2)
(b) 佐藤通弘 -- 荷方節 (5:24) (Disc 8, Track 3)
佐藤通弘(津軽三味線)
録音:1996年3月6日 中野「なかの芸能小劇場」でのライヴ
津軽三味線はアヴァンギャルド
津軽三味線の演奏は即興演奏です。津軽三味線と呼ばれる演奏形態が始まってから、まだ百年少ししか経っていません。日本の長い三味線音楽の歴史の中では、津軽三味線は一番新しい音楽です。また、たいてい日本の民謡は一般の人々が演奏していたのに対して、津軽民謡、津軽三味線はプロの集団が演奏していました。舞台で演奏者どうしが演奏を競い合うことで、進化変化してきた音楽です。だから、津軽三味線の演奏は他の演奏家と同じ演奏をしていては一人前の演奏家と認めてもらえません。人と違う自分独自のスタイルを作っていかなければなりません。そのために津軽三味線の演奏は、今までの三味線音楽(長唄、小唄など)では使われなかった技術、または使ってはいけないとされていた技術をも使うようになりました。津軽三味線は演奏でしてはいけないことがないのです。良い演奏をするためにはなにをしてもいいのです。タブーが無いのです。ただし、良い演奏をすればの話ですが。だから、私にとってインプロヴィゼーションのセッションをしている時も、紋付き袴でじょんがら節を演奏している時も、まったく同じ感覚なのです。津軽三味線は三味線音楽の中のアヴァンギャルドなのです。
佐藤通弘