(a) 今井和雄 -- Ephemera 24-2 (12:37) (Disc 6, Track 4)
今井和雄(石版、真鍮板、ステンレスボール、木片、竹片、スプリング、小石、貝殻、チェーン、卵切り、ベル、スーパーボール、声、おもちゃのテルミンほか)
録音:今井和雄、1997年9月26日 築地「兎小屋」での「Solo Works, Vol. 24」ライヴ
(b) 今井和雄 -- Ephemera 22-3 (8:52) (Disc 6, Track 5)
今井和雄(エレクトリック・ギター)
録音:今井和雄、1997年4月11日 築地「兎小屋」での「Solo Works, Vol. 22」ライヴ
(c) Marginal Consort 1998より (19:12) (Disc 10, Track 3)
今井和雄、小沢靖、越川知尚、椎啓、多田正美
録音:1998年9月12日 東京「法政大学学生会館大ホール」でのライヴ
(a) (b) ここに収録された演奏は、ほぼ同じ簡単なシステムで作られている。つまり、アンプによる増幅とディレイによる時間差。増幅はケージの追認だろうし、時間差は小杉エコー音楽から学んだことだ。といっても、私が早くから電気化された楽器であるギターを演奏していたことが電気の使用を安易にしているのだが。ダイレクト音をカットして、3つのスピーカーから数秒づつ遅れてやってくる増幅された音の中で即興をすること。そこでは、行為と聴こえている音の出来事は異なっていて、手元では聴こえない音が重なってやってくる。その音を操ることは難しく、偶発的に起こる音の層に委せるしかない。素材や奏法の選択が音楽の形を方向付けることはできても結果は分からないし、聴こえてくる音を追いかけても影踏みの迷路に陥るだけだ。その場の音を聴き、行為に集中すること。そのことが音楽の時間を造っていく。
(c) マージナル・コンソートは1997年から始めた集団即興の為のプロジェクト。このCDの企画者から使用楽器の説明を求められたが、参加者それぞれが離れているし、たとえ近くで見てもテーブルに並べているものは詳しく分からない。この音源は1998年に行われた3時間の演奏の中から二つの部分を切り取ったものだ。この部分を聴きながら思い出すと、多田正美はしなる枝を振り回し、抱えるほど大きな竹筒を投げ、掌に乗る位のサンプラーを左右の手で一台づつ演奏していた。椎啓は自作の楽器やエレクトロニクスを演奏していた。この日吹く楽器に限定して演奏すると、越川知尚はトロンボーンなど沢山の楽器を並べていた。今井和雄はワイン・ボトルに水の泡を作り、レイン・スティックにワイアレス・マイクを付けて歩き、木片を叩き、カリンバを演奏していた。小沢靖はその場にある音を録音し、ループを作ったりエフェクトしたりして返してくる。ということだがやはり詳しく分からないし、そのことはあまり重要ではない。やはり演奏のプロセスに立ち会ってもらいたいし、演奏時間は長いが、その中の10分でも発見があれば良いと思う。私達もその時間を聴きたくて演奏しているのだ。なお、客席の移動を自由にしているので足音が入っています。
今井和雄