(a) 秋山徹次 -- T.T. (25:49) (Disc 1, Track 6)
秋山徹次(ターンテーブル、DJ ミキサー、コンタクト・マイク)
録音:杉本拓、2001年3月29日 代々木ギャラリー「オフ・サイト」でのライヴ
古代の儀式でいろいろな鉱物や植物が用いられた様に、現存する最後の魔法である「音楽」が生成される場に於いても、今もってそれらは有効である。音楽家にとって楽器は現実を変化させるための触媒であり、自らの運命を占う道具であり、共に戦う盟友である。ねじれたコバルトやクロームのテープは呪文を唱え、ダイヤモンド針はアルミ箔と出会い奇声をあげる。鉄とニッケルでできたギターの弦を擦れば小人達が囁きはじめ、銅を伝わった粒子がパピルスのスピーカーを震わせ世界を共鳴させる。人類は電気を制することでミクロな世界を自分達の側へ引き寄せたが、増幅されたのは世界ではなく自分達の感覚の方だった。耳というの実は目であることに気づき、「音楽」は四次元の数学として現われ、偶然を味方にすることで時間の海を漂うことから解放された。思考するパルスとしての意識を持つ人間こそが微細な物の集合体であり、本来の意味でエレクトロニックな存在である。
秋山徹次 2001年10月1日