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流れるままに

DJオリーブ『Buoy』

恩田晃

ニューヨークを拠点にあちらこちらを旅しているターンテーブル奏者のDJオリーブは、ダビーなビートでグルービーに攻める時もあれば、アブストラクトなアンビエントで和ませる時もある。『Buoy』は後者。彼なりのエレクトロ・アコースティク。静かなシンセっぽいドローンが緩やかに流れ、ときおり人の声や風の音が紛れ込んでくる。心地よい有機的なサウンドに身を浸していると、時の経つのを忘れてしまう。青空を流れる雲をひたすら眺めていたり、寄せては返す波を海辺でぼんやりと見詰めていたり、感覚がミニマルな光景にすっぽりとはまり込んでしまう時があるが、このCDを掛けているとそんな気分になる。くり返しくり返し入り込める音楽。アルバム全一曲一時間が終り、ふと我に返り、再びプレイ・ボタンを押してしまう。

『intoxicate』(2004年12月号)掲載


Last updated: July 1, 2005