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タンテなふたり

BusRatch(バスラッチ)『Memorium』

恩田晃

京都は不思議な街だと思う。奥の深い街だとも思う。時々、流行りすたりとは無関係にとんでもなく変わったひとたちが現れたりする。毛利桂とタカヒロ・ヤマモトのターンテーブル・デュオ BasRatchも、そんな京都らしさを何処となく秘めている。だいたいタンテって(彼の地ではターンテーブルをこう呼ぶのだ)、音楽ぶっ壊したり、ルール破ったり、すぐにアンチ・ヒーローになれちゃう安易さがあるのだけど、BasRatchは強烈なノイズを炸裂させても、次ぎの瞬間には美しいアンビエントでハッとさせてみたり、落としどころがニクイのだ。かなり音楽してるなー、と。スタイルは今風のエクスペリメンタルなタンテ音楽なのだが、P16D4、ノイバウテンなど、ひと昔前のヨーロッパのインダストリアル・ノイズを匂わせたりもする。このふたりはまだ若いし、荒削りな部分も多い。でも、それもまた魅力なんじゃないかな。このところ、こじんまり纏まった音楽ばかりが量産されていてつまらないので、こういう独特なセンスを持ったひとたちがもっと出てきて欲しい。

『ミュゼ』Vol. 40(2002年11月20日発行)掲載


Last updated: January 17, 2003