Improvised Music from Japan / Aki Onda / Information in Japanese

シネマージュとは?

シネマージュは、わたし自身のパーソナルな記憶から紡ぎだされた映像とギタリストによる即興演奏によって構成されるオーディオ・ヴィジュアルな空間です。シネマージュ<Cinemage>とは、映画へのオマージュ<homage to cinema>、そしてイメージの映画<image of cinema>を意味しています。映像と音楽を同等に扱うことにより、映画でも写真でも音楽でもないある種の言語を探りだそうとしています。

映像は、わたしが日記のように撮り溜めてきた写真をスライド・プロジェクションでスクリーンに投影していきます。静止画像からなんらかのイメージの連鎖=動きをつくりだすのです。実は、十代のころ、わたしは写真を撮っていたのですが、音楽をつくり始めてからカメラには触れていませんでした。そのうち、カセット・レコーダーで音を採集することが自分の生活の一部になってしまい、それは『カセット・メモリーズ』というプロジェクトに発展していきました。そして、ある時、気づいたのです。音を録るのも、写真を撮るのも、わたしにとっては同じなのではないか、と。失われていく記憶を掻き集めようとしているのでないか、と。そこから、ふたたび写真を撮り始めました。もしかすると、わたしは、これまでカセット・レコーダーを片手に試してきたことを、カメラに持ち替えて試そうとしているのかもしれません。

即興演奏は、基本的にギター・デュオ(もしくはソロ)によって行われます。アラン・リクトとローレン・コナーズ、それにノエル・アクショテとジャン・フランソワ・ポボロスの組み合わせを想定しています。彼らなら、無理なく、こちらのやりたいことを理解してくれるので。

このプロジェクトは始まったばかりで、この先どのように発展していくのか、皆目見当がつきません。今は、どちらに向かえば未来があるのか、勘で解るのみです。わたしは、写真や映像芸術をわりによく知っているので、無知から向こう見ずな冒険ができるわけもなく、正直なところ、とんでもない領域に足を踏み入れてしまったな、と後悔すらしているのです。ただ、わたしが、映像と音楽が絡みあうイメージに強く惹きつけられるのは、それゆえなのかもしれません。未知の暗がりに踏み込むスリルみたいなものでしょうか。

2005年4月 ニューヨークにて
恩田晃


Last updated: June 30, 2006